前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
御堂先輩を含む群がっている女子達を遠巻きに見ながら、「何をやっているんだ」ついに鈴理先輩が動いた。
流石は好敵手。
あの集団に堂々と声を掛けるなんて肝が据わってるよ。
女子達に時間が来たようだと手を振る御堂先輩は、颯爽と彼女に歩んで挨拶。
柔和、というよりは何処となくシニカルな笑みを浮かべている。
負けん気の強い彼女はシニカルに笑みを返した。
よって互いの間に青い火花が散る。好敵手らしいご挨拶だ。
「此処で何をしているんだ。女子を口説きたいなら、自分の通っている学校ですればいいものを」
「この学院の女性には女性の美があるからな。声を掛けてくれた女性に挨拶をしていたんだ。もしや君も口説かれたかったか? 仕方が無いから口説いてもいいぞ」
「あたしに向かって上から目線とは生意気だな。それにあたしは口説かれるではなく、口説き専門だ」
「君は本当に可愛くないね」
「そっちもな。女にちやほやされている麗しの王子様?」
HAHAHA!
高笑いする二人、ちょ、ナニナニナニ、あんた等、怖い。怖いよ。
こんなにも二人って怖いオーラを放ち合うもんだったのか?
れともナニ、数日前の二人は地を隠していたってヤツ?
公共の場に行くから自分を隠してましたよー。みたいな?
ど、どっちにしても怖いんだけど!
小刻みに震える俺に対して、大雅先輩は「あれ普通だぞ」指差して気を宥めてくれる。
そ、そうっすか…普通…、なんっすか。あれ。
こっそりと生唾を飲む俺を余所に、
「あたしに対して謝罪でもしに来たか?」
なにせ、あんたは数日前にあたしの彼氏と噂になったのだからなぁ…、青筋を立てる鈴理先輩。
用がないなら此処からさっさと消えてしまえ、そう台詞に茨を巻いて吐き捨てる。
正門前で目立たれても通行の邪魔だと勝気、強気に発言。
様子からして、かんなり憤っているもよう。
俺と御堂先輩の噂、超根に持ってるみたいだ。
「なんだ。悔しいのか」
御堂先輩は挑発的に笑ってみせた。
おぉおおっ、そこで怒りを煽るような発言を返さなくても…っ。