前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


「大体あんた達の目論見が、気に食わない空を完膚なきところまで痛めつけてその鬱憤を晴らし、挙句Mにしてやろうだったなんて。
あんた達と同じ変態にしようとしていたなんて、言語道断だぞ!」

 
身震いをする鈴理先輩は地団太を踏んだ。

うん、俺も恐ろしいと思いました。

本当にMにされちまっていたら、今頃どうなっていたやら。

きっと『鈴理先輩、俺をもっと攻めて下さいっ。苛めて下さいっ。寧ろ痛めつけて踏んで罵ってカッコハートカッコ閉じる』なんてドン引きなことを言っていたんだろうなぁ。


まあ、そんなことを思う前にケッチョンケッチョンの袋叩きにされていたに違いないけど。


「隊長っ、我々は今、アイドルに罵られています!」

「高間、これぞ幸せと称すんだ。生きていて良かった」
 

……、やっぱりこいつ等、救いようがない。

大感激している親衛隊にぶち切れそうになる鈴理先輩、ギッと睨めば向こうがハートを散らす。嗚呼、悪循環。


やや引き気味に様子を見ていた御堂先輩は舌を鳴らし、自分の話に注目させようと鞭を叩く。


キョドる親衛隊の顔を一人ひとり見渡し、「君達がしたことは死罪にあたる」ビシッとベルトで彼等を指した。

 
「何故ならば、僕の婚約者に手出しをしたからだ。御堂財閥の運命を背負った花嫁に手を出した。これは重罪だ」
 

御堂先輩…、もはやどっからツッコめばいいか分からないっす。


いつの間に俺、貴方と婚約してるんですか。花嫁…、花婿じゃなく花嫁?

まさかウェディングドレスを着ろなんて言い出しませんよね。


「鈴理が好きなら好きにするがいいさ。アイドルにするなり、崇めるなり、甚振られるなり好きにしろ。僕が許可する! どうぞ持っていけ!」

「なっ、玲。何を勝手に…!」

 
「だがしかし、婚約者への手出しは僕が許さない。よくも傷物にしようと…ッ、お前等! 御堂財閥の運命を背負った花嫁は誰だ!」

 

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