前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
05. お嬢様が我が家にやってくる!
□ ■ □
「おはよう、空。
今日はあたし、あんたと徒歩で家に向かうことにしたぞ! とても楽しみにしているからな!」
あくる日の先輩はすこぶる機嫌が良かった。
俺のお誘い効果がいかんなく発揮されたらしい。
登校した俺を昇降口で待ち構えていた鈴理先輩は、「あんたと下校デートだ!」挨拶代わりに下校の話題を振ってきた。
いつも車で送り迎えされている竹之内お嬢様三女だけど、俺のために帰りのお迎えはいらないと言ったみたいだ。
とびきりのニッコニコ笑顔で一緒に歩いて帰るとのたまってくる。
「そうっすか」でも俺の家、遠いっすよ、元気ハツラツの彼女に向かって俺は目尻を下げる。
「構わないぞ」寧ろ、下校デートをしてみたかったのだ、鈴理先輩はハイテンションで答えた。
うん、良かった。
いつもの先輩に戻ってくれているみたいだ。
はしゃぎように微笑ましさを感じるぞ。誘った甲斐もあるってもんだよな。
ほんっとここのところの鈴理先輩、様子がおかしかったしな。
元気になってもらって俺も「空の家でセックスはできるのか?」
………。
笑顔を貼り付かせた俺は、上履きに履き替えながら彼女に忠告を述べることにした。
「先輩。俺の家は狭いっす。両親とは常に至近距離っす。したがっていかがわしいことはできません。いいっすか?」
「空のご両親が帰宅する前にヤることをヤればいいではないか! 時間に追われながらするセックスはな、とても燃えるそうだぞ! あたしは必死になっている空を見たいのだ。
うむ、あの時の嬌声も耳から離れないし、是非ともあたしは」
「センッパイィイイ! 頼みますから…、頼みますから、俺の家では健全にしましょう! 親にいたらんことをしているなんてば、ば、ばれたら、おぉお俺、顔向けもできないっすよ!」
「いたらない? まだセックスしてないでは「とにかく健全重視でお願いしますっす!」
ぶすくれる鈴理先輩は、「じゃあこっそりお触りは良いだろ?」なんて爆弾発言。
腰や体を触ったりするだけなら許容範囲だろ? とかなんとか、言ってくれる先輩だけど、貴方様の触る行為は一々々々ねちっこいんっすよ。
できることなら却下したいところっす。