前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
08. 俺の先輩達は優しいんっす
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月曜日。
Blue Monday(別名:月曜病)という単語があるように、週明けのはじめは憂鬱な気持ちを抱いてしまう。
社会人の方々はこれからまた一週間、仕事を頑張らなきゃいけないと気鬱になるし、学生は学生で学校に鬱の念を抱くだろう。
俺も多少ならず気鬱を抱いていた。
月曜日になったってことはまた学校が始まる。
勉強が苦というより、俺は学校で会ってしまうであろう人達の顔を思い浮かべて憂鬱を抱くんだ。
日曜は御堂先輩の励ましが効いていたおかげか、バイト中も、家で勉強していた時も、さほど気にすることなく時間を過ごせた。
でも月曜日は違う。
必ず俺は先輩二人と会ってしまうだろう。
その時、俺は平常心でいられるだろうか。
あの光景を見なかったことにして、二人と言葉を交わすことができるのだろうか。
きっと俺は知りたいと思っている。
あの時の光景を目の当たりにしたことで、二人の家庭で何かが遭ったんじゃないかと不安を抱き、知りたがり屋の俺が首を突っ込みたがっている。
けれど安易に踏み込めないのは俺は財閥界とは無関係の庶民。
財閥の令息令嬢には分からない苦労を知りたがったら、二人とも疎ましいと思うんじゃないだろうか?
拒絶されることが若干怖かった。
なにより「お前には関係ない」と言われることに恐れをなしていた。
片隅で言ってくれるんじゃないかなって甘えもあったんだけど、不安と恐怖の方が勝っていたんだ。
彼等とは朝には会えず、昼間に顔を合わせることになる。
いつもどおり、学食堂でランチを食べる。駄弁る。談笑する。
鈴理先輩とご飯を半分にしたり、他愛も無い話で盛り上がったりするんだけど、俺は言い知れぬ違和感を感じ取っていた。
大抵鈴理先輩と食事をすると、芋づる式で大雅先輩がくっ付き、成り行きで宇津木先輩や川島先輩がくっ付いてくるんだけど、全員の雰囲気に違和感を感じるんだ。
べつに言動に対して不審なところはない。
だけど空気がなんだろう…、いつもと違う。
土曜にあんな光景を見たからかな。俺が変に勘繰りしているだけなのかな。