前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
曰く、あっちこっちに良い顔をするのが苦痛らしい。
話を合わせるのも辛いし、愛想笑いを作り続けるのも体力勝負。
終わる頃には疲弊してしまうとか。
「しかも今回の交流会には玲(れい)が来るだろうしな。あいつ、苦手なんだよな」
だけど鈴理の許婚である以上、絶対関わりを持っちまうし。
愚痴を零す大雅先輩に宇津木先輩は微苦笑、鈴理先輩は想像してしまったのか盛大な溜息をついてこめかみに手を添えていた。
これまた三者三様の反応をしてくれているけど、玲ってどなた様?
キョトン顔を作る俺と川島先輩に、宇津木先輩が自分達と同じ財閥の子なのだと教えてくれる。
名前は御堂 玲(みどう れい)。
先輩達と同じ17歳のお嬢様らしいんだけど、財閥界では名が通っている筋金入りの男嫌いだとか。
一方で自分自身は男装を好む傾向があるらしい。
理由としては男に負けたくない反骨精神からきているとか。
自分も男のように振る舞い、いつかその男ポジションを分捕る。
それが彼女の夢であり願望…、と、まるで鈴理先輩と同じような夢を抱いているらしい。
でも彼女の場合、男尊女卑の考えを根っこから毛嫌いしているからきている夢だとか…。
まあ、今日(こんにち)の社会、どんなに男女平等が確立されていても、どっかで男が優位ってところがあるもんな。
男の俺からしてみれば、レディースデイとか、女性専用車両とか、そういった女性を特別視するお得なキャンペーンに羨ましさを抱いてたりするんだけど(安くなるってお得じゃん!)、社会的にはまだ男が優越してるところもあるよな。
特に代々続いている財閥なら、そういった男尊女卑の考えが深く根付いていそうだ。