前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
「空とは、息子とは本当の親子ではありません」
ふと父さんが口を開く。
「我々は子供に恵まれませんでした」
そして空は兄夫婦の息子であり、この子は実親を亡くしています。
私にとって甥に当たる息子を引き取って早11年経ちましたが、我々にとって空は息子以上の息子であると誇りを持っています。
今日まで愛情を持って息子を育ててきました。
空はまだ子供で未熟です。
あなた方に迷惑を掛けることも多々あるでしょう。
けれど誰より両親思いの優しい子です。
どうか、そんな空を支えてやって下さい。
「厚かましいでしょうが、私達の息子を。どうぞ、空をよろしくお願いします」
身を引いて頭を下げる父さん、倣って頭を下げる母さんに泣きたくなったのはなんでだろうな。
まるで嫁に行くような気分。ああそうか、そうだよな。
俺、婚約者であり、婿養子って形に一応なったわけだし。
借金の肩代わりに婚約なんて、なんかとんでもないドラマでも見ているようだけど、これは現実なんだよな。
「未熟ですがどうぞお願いします」
俺も頭を下げた。
もう、自分の人生うんぬんかんぬん言っている場合じゃない。
俺は家の運命を背負って婚約者になった。後には引けない。
頭を下げる俺達に、源二さんが熱を込めて返事した。
「あなた方のご子息は、私達が責任を持ってお預かりします。お約束します」
と。
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