前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
「誘ったのは俺等だ。許婚の立場とか、心配しなくていい。豊福は純粋にパーティーを楽しんでくれ。
大体許婚なんて今の時代、流行らない恋愛だよな。
こっちだって自由に恋愛したいっつーの。
鈴理とお付き合いなんてごめんだぜ」
「それはこっちの台詞だ。アンタのようなヘタレ俺様を夫にするなんてごめんもごめんっ、喘がせても楽しくない!」
「俺を喘がせる? ッハ、お前の間違いじゃねえか?」
「ほぉ、あたしを喘がせるとでも? リード権は常にあたしにあるということを忘れるな」
「テメェ馬鹿か?」「大真面目だが?」「寝言は寝て言え」「そっくりそのまま返す」「なんだと馬鹿娘」「ヘタレ男」「じゃじゃ馬女」「オープンスケベ」「むっつりスケベ」「可愛くねぇヤツ」「女々しいヤツ」
バチバチと青い火花を散らす許婚達はフンッと鼻を鳴らし、そっぽ向いた。
あーあーあー、なんでそう喧嘩しちゃうんっすか。
お二人さんはっ、うわぁあお?!
「やはりあたしは空が良い。受け男があたしのタイプっ!
こうやって受け身を取って赤面し、アタフタとしてくれるヤラシイ空が良いのだ!」
「はは…、うれしいかぎりっす。でもなんかうれしくないっす。とりあえず、ヤラシイは否定しても?」
むぎゅっと抱き締められてくる鈴理先輩に空笑いしていた俺だったけど、運転手の田中さんがスーパーに着いたと教えてくれ、俺は現実に返る。
さてと主婦戦争に参戦してこようかな。時間は五時前ニ十分、間に合ったようだし。まだ時間にも余裕がある。
「んじゃ、俺は行って来ますんで。皆様はどうぞ、此処に…って、先輩方、なあにしてるんっすか?」
川島先輩を除く先輩三人が身支度を始める。
「折角だし」経験してみようと思いまして、のほほんと宇津木先輩。
「俺も経験してみてぇ」パーティーに連れてってやるんだから、体験させろよと大雅先輩。
「空の手伝いをしたくてな」自分も参戦するのだと鈴理先輩。