前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
この車の主もタイムセールお目当てなのか。
首を傾げた俺の隣で、「ゲッ!」あの車は…、と声を上げる大雅先輩。
体を強張らせて、足を一歩後退している。
知り合いの車かと尋ねる前に、扉が開かれて人が下車。
俺は思わずカッコイイと目を丸くする。
降りてきた人物は学生のようだ。制服を身に纏っている。
ロングヘアと胸の膨らみからしてその人は女性だって分かるんだけど、何故か彼女は学ランを身に纏っていた。
でもちゃんと女性だって分かるぞ。
その人はイケメンオーラをムンムンに放ってくる。
モデルさんのように背丈も高く、俺と同じくらい。
大雅先輩より、ちょっと低いかなーって思うけど、女性にしては背丈がある方だ。
あれだ、あれ、この人を見てると宝塚を思い出すぞ。
顔立ちも、何処となく純な日本人じゃなくて、日系に西洋の血が混じっているような感じ。
ハーフ、もしくはクオーターなんだろう。
カッコイイ女性と称すなら、きっとこの人がピッタリだろう。
サラッと絹のような栗色髪の束を靡かせ、俺達と向かい合ってくる女性に大雅先輩はやっぱりと顔を顰めた。
「玲、なんでテメェが此処に…」
嗚呼、嘘だろ、ただでさえ苦手なのに此処で会っちまうなんて!
うぇっと顔を顰める大雅先輩は何で此処にこいつがいるのだと嘆いた。
「え? じゃあ」
この人が鈴理先輩の好敵手?
改めて御堂玲先輩を見つめる。
背丈の小さい鈴理先輩に比べて、この人はとても大きいな。本当に王子みたいだ。王子系プリンセスって言ったところかなぁ。
御堂先輩は大雅先輩を見るや否や、「失礼な男だ」と開口一番に毒づく。