前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「僕が現れては不味いのか? 大雅。まったく君は相変わらず、無作法な振る舞いをしてくれる。挨拶がなっていないどころか、下品極まりない。
まあ、男なんて皆そのようなものだろうがな。君は美しくないね」


「るっせぇよ。どんな態度取ったってテメェは悪態ついてくるだろうが」
 
 
負けん気の強い大雅先輩はフンと鼻を鳴らして、腕を組むと不機嫌そうにそっぽを向いた。
 
「無礼者だな」

嘲笑してくる御堂先輩だったけど、一変して宇津木先輩に微笑を作るとガラス細工を包み込むように片手を取る。

そのまま、そっとその両手で彼女の手を握り締めた。

「御機嫌よう、百合子嬢」

蕩けるような極上の笑みを浮かべてくる御堂先輩に、

「御機嫌よう」

ほっこりと宇津木先輩は笑顔を向ける。

ご機嫌になる御堂先輩は今日も美しく可憐だと口説き、それは嬉しいと宇津木先輩は頬を桜色に染めて照れ照れ。

そこがまた愛らしいと口説くもんだから、宇津木先輩はお口が達者ですね、と言葉を返している。



「ん、あんた達何してるわけ? 早くしないと……って、誰、あんた」



此処で川島先輩の登場。

いつまでも車の傍にいる俺達を不可解に思ったんだろう。
車から降りて様子を見にやって来る。


「これはこれは」


初めましてお嬢さん、宇津木先輩の手を解放する御堂先輩は軽く会釈して彼女と握手。

呆気取られる川島先輩に可愛い人だと一笑を零していた。
 

鈴理先輩にはそれこそ握手はしないものの、会釈して丁寧に挨拶。
幾分表情は柔らかかった。
  

……噂どおり、男には辛辣、女には甘々なんだなぁ。この人。


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