前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
「今晩僕と一夜を共にしろっ。君が本当に男かどうか、僕の心がどうなってしまったか、真相を突き止めたい!」
唖然呆然どよめき。
騒然とする会場の一角で豊福空は真っ赤っかの思考停止、御堂玲先輩は真顔で真剣にお誘い。
どこからともなく聞こえてくる皿の割れる大袈裟な音に、
「お、落ち着け鈴理!」大雅先輩の焦る声、
「放せ!」もう我慢ならんと怒気を放つ鈴理先輩の声、
その他諸々の雑音が俺達を取り巻く。
「駄目か?」
御堂先輩がズイッと迫ってくるけど、い、い、意味分かってるのかよっ、この人!
駄目か?
…っ、だ、駄目に決まってるじゃないか!
お、おぉおお俺は彼女持ちっ、健全な一夜を過ごすとしても、そ、そりゃあ承諾できないっすからぁあ!
そう思えど今の爆弾発言、俺には刺激が強過ぎた。
肯定も否定もできず、ただただ唖然と御堂先輩を見つめて赤面。
見かねた大雅先輩達が俺達を回収してくれるまで、両者佇むことしかできなかったのだった。まる。
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