前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
遠い遠い空の向こうから聞こえるサイレンの音。
住宅街で起こった事件事故ゆえ野次馬が集い始める中、俺達は暫しの間、身を震わせて抱擁しあう。
それは別れ以来の抱擁。今だけは許される、体温の共有だった。
懐かしいぬくもりを噛み締めながら、俺は目を閉じる。
きっと目を開けたら、また沢山のうそをつかないといけない現実が待っている。
なら、そのうそをつくために充電しよう。
体に染み付いているあたし様のぬくもりで、充電をしよう。
だって俺の最初の所有主は、この人だったのだから。
⇒Epilogue