多々なる世界の〇〇屋【企画】

木戸は苦笑しながら言う。頭を掻く姿は、まるで失敗を自虐しているようであった。


「黒田って名前で偽ってきたのは、私にとって友の名残りなんだ」

「そうかよ」


冷たくそう答えると、桜羽はふとあることを思い出した。

時世逆流屋のルール、死者を甦らせる、他人の命を左右する行為に当たっての大事な説明だ。


「・・・お前、店の前の説明書、読んだか?」

そう問いかけてみる。

あれは最も大事な注意事項だ。


「ああ。読んだよ。死者を生き返らせる上のルールだろ?」

「そうだ。ちゃんと意味、分かってんだろうな」

「死者を生き返らせるには、それなりの代償が必要、ってことだろ」

「・・・死ぬ可能性も少なくねぇぞ?」


そう言ってやると、木戸は首を横に振る。



「死ぬことを怖がって、友達を助けられるかよ」




死をもあざ笑い、恐怖心の欠片もない覚悟が、木戸にはあったようだ。


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