多々なる世界の〇〇屋【企画】

「私は、ちゃんと覚悟を持ってここに来てる。死なないかもしれないじゃないか」

「可能性はある」

「完璧に死ぬわけじゃない。良くすれば、重症で済むかもな」


ちらちらと小雪が降り始め、木戸は無理矢理か本気か、歯を出して笑いかける。


「重症なら、2回目は怖くないよ」


なんて野郎だ。

その底知れぬ強さらしきものに押されてなのか、桜羽は滅多に歪まない唇を歪ませた。


面白れぇじゃねぇか。


――


現代に戻り、木戸が帰った後で、こっそりと桜羽はその数日後の世界を見に行った。


黒田は死ななかったが、木戸は退院直後に歩いた時、階段から落ちてまたも生死の境を彷徨う重症。

しかし、生命力があったのか、友に再会するための執念が燃え出したのか、1週間後に目を覚ました。

木戸の横では、黒田が泣きながら喜び、手を握っている。


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