多々なる世界の〇〇屋【企画】
彼女にティッシュを渡し(それも兼ねて種蒔き)た後、寿恵は弘前の所に走る。
「幸さん?どうでした?」
弘前は大きな結果に期待するような目で、寿恵に言う。
「私の効果は少しずつ現れるから、そのほかの段取りも必要ですよ。私の力は、依頼者や第三者によって現れるんですよ」
「そうなんですか?」
「そのためには、まず貴女が彼女の目の前を通り過ぎたり、何か彼女が思い出しそうなものを持って、彼女の前に現れたり、第三者を連れてきたほうがいいですよ」
「第三者?」
「そ、お父さんとか、兄弟姉妹とか、貴女と彼女が知っている人物を」
寿恵そう言うと、弘前はボソッと「お母さん・・・」と呟くのが聞こえた。
「お母さん?」
「いっ、いえ、お母さんと言うのは、私を預かっていた施設の女性です。お母さんって呼ばれてて・・・彼女なら、母も知っているはずですから」
「・・・第三者としてなら使えそうかもね」
寿恵は独り言を呟く。
「じゃあとり合えず、貴女自身は彼女の前に現れることを心がけてください。そうすれば、種は少しずつ芽を出す。彼女の種にとって、貴女は水、第三者は肥料ですよ」
寿恵はひそかにその「お母さん」と探そうと考えながら、弘前に微笑みかけた。