多々なる世界の〇〇屋【企画】
「まぁ・・・」と老女は驚いたように口を開く。
綺麗な瞳、と思う。
余程、この仕事に対する信念というものが強いのだろう。
「分かったわ。応えて見せるわね。あなたのプライドにかけて」
―
岡本は「あら」と口を開いた。
昔娘を預けた施設の施設長が、目の前にいるのだ。
「お久しぶりですね」
「そうですね・・・」
たまたま会っただけ、と言うような顔をした老女だが、岡本には計画されていた事のような気がする。
「最近、施設の子供達も皆自立しちゃって、凄いものですね、子供って」
「そうなんですか・・・。今は、まだ施設を?」
「ええ。ちゃんとやってるわ」
そして、老女は本題を持ち出すように口を開く。
「娘さんは、澪ちゃんは元気?」
岡本の中に水が注がれたのを、隠れて見ていた寿恵は見逃さなかった。
水が注がれ、日が当たり、芽が種子を突き破ろうとしている。
「それは・・・小さい頃以来なので・・・」