多々なる世界の〇〇屋【企画】
「弘前さんは、その事よりも、母親である貴女に忘れられたことに、よっぽど傷ついていましたよ?」
「っ・・・」
「もう、ことは過ぎ去ったんです。娘をそれだけ思える母親なら、あなたは立派な人間だ」
そう言ってから、寿恵は「もう出てきていいですよ」と物陰から弘前を出させた。
「似ていると思いませんか?あなたの中にある、澪さんと―」
寿恵は、DNA鑑定の依頼書を出した。
「もし、もう一度娘に会いたいというならば、自分の髪の毛を出して見せてください。まぁ、99パーセント一致だと思いますが」
寿恵はふふっと優しく微笑んで見せた。