多々なる世界の〇〇屋【企画】
『それに、向こうも嫌がってるんでしょ?もうやらなくていいじゃない』
うん、やらなくていいと思う、と時乃が思ったとき、念が途切れた。
集中が途切れた証拠である。
(まぁ・・・相手が嫌がってるのなら、お見合いは潰してもいいか)
選択肢の「お見合い」にばつ印をつける。
「あとは、親だな」
時乃はそう呟いた。
「あの」
晴明に声をかけられ、時乃は振り返った。
「本当に、大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だけど、どうした?」
「・・・俺、本当に迷子から抜け出せるかどうか、心配なんです」
今更何を言うんだ、と思う。
「これって・・・境遇と言うよりも、宿命って言うもんじゃないかなって・・・」
晴明は唇を噛んで、苦しげに呻くようにして言った。
「俺は結局・・・・ただの道具に過ぎないのかなって・・・」
弱気に言う晴明の顎を引き、時乃は一度微笑んでから―
「ばっかもーんっ!!」
と晴明の頬を拳で殴った。
「痛っ!・・・な、何をするんですか」
殴られてうろたえた晴明が、眉を下げて言う。