多々なる世界の〇〇屋【企画】
「あそこの席」
黒田を見ながら、百合の飾られた席を指差す。
「クラス表の『木戸(きど)』って名前が消されてたんだけどよ・・・、もしかして、そいつの席なのか?」
「・・・そうかもな」
溜め息をつく際に黒田は言う。
呆れたような顔だったので、桜羽は「何が間違ってんだよ」と言ってやりたくもなった。
「そんなことより、探す相手はその『木戸 鞠乃(まりの)』じゃない」
(鞠乃・・・?)
それがあいつの名前なのか?と桜羽は首を傾げる。第一、なぜ黒田が知っている?
「私が探しているのは、短髪に刈り込んだような髪の毛の女子生徒だ」
「刈り込んだ?」
そう言われて、桜羽は廊下のあたりを見回す。すると、1人の女子生徒が目に映った。