多々なる世界の〇〇屋【企画】
彼女が帰ってしまうと、私は開店の幕をそっとしまった。
「おつかれさん」
振り返ると、おばちゃんがカウンターに大好物のスルメを置いてくれた。
「ああ、ありがと」
「あんた、男装なんかして楽しいの?」
おばちゃんが興味深々に聞いてくる。
「そりゃ、どういうこと?」
「あんたは女の子なのに、男呼ばわりされていいのかって」
うーん・・・・。
そりゃ、メンタルは減る。でも・・・。
「お客さんが喜ぶし、泣いていたお客さんを笑わせるのも、わたしゃあ、楽しいからさ」
「ふふん・・・。あんた、将来いいオーナーになるよ。カウンセリングつきで」
「またまた」
私は香ばしい匂いのするスルメを齧った。