多々なる世界の〇〇屋【企画】
黒髪は男並みの短さに切られ、大きい瞳に長いまつげ、色黒で背の高い女子生徒の名札には『黒田 文香(ふみか)』と書かれていた。
(『黒田』・・・?)
桜羽は真っ先に黒田を見る。同一人物かと思ったが、まるで対照的な容姿からしてそうは思えない。
似ても似つかなかった。
「もしかして、アイツか?」
黒田を呼び、桜羽はあの『黒田』を指差す。
黒田は、目を大きく見開いた。表情に、少しだけ活気がついたように見える。
「そうだ・・・」
黒田の声は小さかったが、桜羽はなぜか歓喜の声を聞いているような気分だった。
「あの子が・・・文香だ・・・」
黒田の口元は一瞬歪んだが、すぐに真剣な顔に戻る。