多々なる世界の〇〇屋【企画】


「今、何時?」


黒田はクルリと桜羽に向き直り、言う。
桜羽が時計に目をやると、すでに4時半になっている。


「4時半」

「そうか・・・。放課後か・・・。だからこんなに、人が集まってるんだな」


下を向きながら言うと、黒田はゆっくりと『黒田』と見つめた。


「このまま、あの子を追いかけよう」


ストーカーかよ、と桜羽は言いたくなる。


『黒田』が学校を出ると、桜羽と黒田も急いで尾行に移る。追跡中に桜羽はある異変に気付いた。

黒田は、追跡中にしょっちゅう耳をすまし、交差点や曲がり角になったりすると、『黒田』を追い抜かし、右左を確認する。


結局、何も起こらないまま追跡は終わり、『黒田』も家に帰った。


一方の黒田は「一段落した」と言いたそうな顔で一息つく。


< 7 / 61 >

この作品をシェア

pagetop