多々なる世界の〇〇屋【企画】
「今、何時?」
黒田はクルリと桜羽に向き直り、言う。
桜羽が時計に目をやると、すでに4時半になっている。
「4時半」
「そうか・・・。放課後か・・・。だからこんなに、人が集まってるんだな」
下を向きながら言うと、黒田はゆっくりと『黒田』と見つめた。
「このまま、あの子を追いかけよう」
ストーカーかよ、と桜羽は言いたくなる。
『黒田』が学校を出ると、桜羽と黒田も急いで尾行に移る。追跡中に桜羽はある異変に気付いた。
黒田は、追跡中にしょっちゅう耳をすまし、交差点や曲がり角になったりすると、『黒田』を追い抜かし、右左を確認する。
結局、何も起こらないまま追跡は終わり、『黒田』も家に帰った。
一方の黒田は「一段落した」と言いたそうな顔で一息つく。