童顔教師が居候。
[番外編:後悔]Ryosukeside
…雀の家の前に着いた俺は、コイツを起こせないでいた。
「…っうー…」
苦しそうに顔をしかめ、唸り声をあげる雀。
冷や汗までかいて…夢の中でもきっと俺のことで悩んでるんだろう。
まだ少し離れるのは惜しいと思ってしまう自分。
やっとの思いでその気持ちを押し殺し、雀の肩を軽く揺さぶる。
「…雀、起きろよ。」
…起きる気配はない。
それよりも、起こしてしまう方が可哀そうだ。
後部座席のドアを開け、身を乗り入れる。
覚悟を決めた俺は、雀を抱きかかえようと手を掴んだ。
…細っせぇ手首してんだな、コイツ。
顔を見ると、さっきまでの苦しそうな表情は消えていた。
「…ったく…」
少し安心して、ため息が漏れる。
無防備な寝顔に見入ってしまい、動かなくなる体。
…いっそここで全てを明かしてしまおうか。
それで雀が俺を受け入れてくれるとは限らないけど。
でもな、もう我慢できねぇんだよ。
雀が…他の男を想っているだけで、気が狂いそうになる。
目で追っているだけでお前の視界を奪ってやりたくなる。
会話してるだけでお前の口を塞いでしまいたくなる。
…ただの嫉妬なんてことわかってる。かっこわりーって事も自覚してるよ。
高校生のガキに嫉妬しちまう大人げない憐れな野郎だって。
…それでも、それくらいお前を渡したくないんだ。
俺のものにしたい。誰にも触らせたくない。ずっと傍にいたい。隣で笑っていてほしい。
「…好きなんだ。」
一人声に出した想いは、当然お前に届かない。
それが分かっているのに…届かないことがこんなにも虚しくて、悲しくて悔しい
。
---------辛い。苦しい。
「なんで俺、戻ってきちゃったんだろーな」
自嘲気味に独り言をポツリと吐いて、雀の唇にキスを落とした。
…END