童顔教師が居候。
ガラッと扉が開いた。
「すいません遅れました!挨拶お願いしますっ」
どくんっと心臓が脈打つ。
鰯はいつも通り普通な感じだが、私は鰯の顔を見ることができなかった。
目があったらどうしよう…なんて思って。
そんなことばかり考えて、私の中のモヤモヤは大きくなっていくばかり。
気まずい空気は嫌いだ。…後で謝りに行こう。
適当な挨拶が終り、先生の長々とした話が始まる。
いつものように女子が騒がしく、イライラが募る私。
なんでかいつもよりイライラするわ。なんで?
寝不足だからかな?
「せんせ~眼鏡外してよぉ」
「…これでHRを終わります。」
いつの間にか少し声のトーンが下がってる気がする。
…やっぱり昨日の私が原因?怒ってるの?
早足で教室を出た鰯を追いかける。
「いわっ…先生!」
声をかけたが、こちらを見向きもしない鰯。
無視!?昨日のことやっぱり根に持ってるんだっ!?
カチンときた私は廊下に響き渡るような声で
「いっ…鰯先生の秘密聞きたい人ー!」
…と一言。
勢いよく振りかえる鰯の表情は、驚きと焦りが混同して、変な顔。
ツカツカこちらへ早足で向かう鰯。と、そこに
「何々!?鰯ちゃんの秘密!?」
「鰯がなんだって!?気になる!」
教室から顔を出し、興味津々に私と鰯を見るクラスメイト。
それに気付いた鰯の顔が一気に青ざめる。面白い!
鰯は私にしか聞こえない声で
「てめぇ…夜覚えておけよ」
と低い声で言った。だがその表情はニヤリと怪しい笑みを浮かべている。