童顔教師が居候。




ああ…。

そっか…だから私には「素の自分」を見せてくれたんだ。
あの悲しい顔は、思い出してほしかったんだ。私に…。
家を知ってたのも、雀って呼んだのも、全部全部…鰯じゃなくて
「亮にい」だったんだね。




「ごめん…せんっ…亮介くん…。」





「呼びにくいなら先生でも大丈夫だぞ。」





俯いて顔を隠した。涙が出そうだったから。
亮介くんに見られたくなかったし…お母さんにもお父さんにも。
最低だ私。自分の初恋の人も思い出せないなんて…。
いくら変わってたとしても、酷いことした。
亮介くん…傷ついただろうな。



こらえ切れなくなって、私は席を立った。
ドタドタ足音を鳴らして二階へ逃げる。




「雀っ!」





「いーのよ亮介くん。雀はすぐ感情的になっちゃう子だから。泣き虫なの。きっと亮介くんに泣き顔見せたくなかったのよ。」





…お母さん聞こえてるよ。
勢いよく自分の部屋の扉を閉め、ドアノブにもたれかかった。


そのままずるずると地面に座り込む。








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