童顔教師が居候。




驚き、どうしていいか分からなくなった私は、とりあえず部屋のドアを開いた。




…絶対聞こえないと思ったのに。



私の声が亮介くんに届いた。そのことが嬉しくて、少し頬が熱くなる。
照れた顔を見られたくなくて、慌てて片手で赤くなった頬を隠した。






「雀、ほんと久しぶり。まぁ、学校では毎日会ってっけどな」






そう言って歯を見せて笑った顔に安心し、顔を覆っている手をどける。




この笑い方だけは変わってないな。
なんて一人心の内でくすっと笑った。




…でも優しいのも変わっていない。誰かが困っていれば、一番に亮介くんが助けにいってたもんね。


全然話したこともない学校の子でも、悪態ついてくる近所のおばぁちゃんでも。
わけ隔てなく、みんなに優しい亮介くん。




それは先生になっても変わってなかったんだね。
だから男女関係なくみんな「鰯先生」が好きなんだ。








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