童顔教師が居候。






亮介くんは参ったなぁと、頬を緩めて笑った。




…でも私は知っている。




昔から辛いことや苦しい時、亮介くんは決まって嘘の笑みを作ることを。
誰にも心配かけないように。

周りも傷つかないように。

辛いのをため込むことが、一番辛いと自分で気付いているくせに。

それでも亮介くんは言葉を続けた。





「んで俺教師になったばっかじゃん?金稼ぐのも大変なわけで…家もろくに借りられないダメダメな奴なんだけど」





「…自分が[できない奴]みたいに言わないでっ…!」





「…」





「私、亮介くんが優しいこと知ってるよ?…お母さんのために頑張ってるんだよね。あそこの病院、入院するにはすごい費用が必要って聞いた。だから、あんなに遅くまで残って仕事してるんでしょ?・…毎日。」






亮介くんは目を見開いたまま固まっていた。
でもすぐ後にポツリと呟く。





「俺が残ってるの…知ってたんだ。」






「うん。前に、他の先生から聞いたの。」

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