童顔教師が居候。




…はぁっ!?
なにそれっ!?今朝は何も言ってこなかったのに!!
それって…それって…!!!
亮介くんと…二人きりってことぉぉぉお!?




我が家では無断外泊や異性の家に泊ることが禁止されている。
おにいちゃんはいつもそのことでお父さんと喧嘩してた。
…絶対今日、彼女の家に泊りに行く!!





母さん達も分かっててなんで旅行なんか…。


それよりもなによりも!!


そのとき、玄関が開く音がした。





「ただいまー」





お兄ちゃん!!
止めなきゃ!絶対に!何があっても!
お兄ちゃんの足取りは軽く、鼻歌交じりで二階へ向かう。
コイツ…母さん達の旅行のこと気付いてやがる。
なにやらごそごそと荷造りを始めた。





…私は諦めた。今のお兄ちゃんは誰にも止められない…きっとそうだ。





「行ってくる!」




爽やかに私に向かってウィンクを飛ばす。
…気持ち悪い。母がみたらどう思うか。
こうしてお兄ちゃんは家を後にした。






…一人残された私は、とりあえず夕飯の支度を始めた。
疲れて帰ってくる亮介くんのためにも、なるべくおいしく作らなきゃ!
腕の裾をまくり、包丁を手に取る。
亮介くんの喜ぶ顔を想像すると、自然と口元が緩んだ。







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