ヤンデレな弟はお好きですか?
(二)
絵にしたい風景だった。
味わい深い神社に、背には紅葉で色づく山。雀が飛び交い、山から風に乗って紅葉の葉が降り注ぐ。
季節の象徴を集めたよう、写真でも絵でもいいから保存したい。
――そこに兄さんがいるから。
ああ、秋という季節は兄に似合う。ここで時が夜であり、満月ならば、月見兎も兄を前にその魅力で倒れてしまうだろう。
境内、賽銭箱前あたりの段差で狐面、着物の兄が座っていた。
「この前よぉ、ひるどらというのをてれびじょん様が見してくださったんだけどよぉ。夫の浮気現場にこそこそついていく奥さんがいたんだけどよぉ、正にそれじゃね?」
「いややわぁ、溝出。僕が兄さんの奥さんなやんて」
「いや……今のは喜ぶ話じゃないんだけどな」