【短編】コーヒーが飲みたい
外に出ると雨が降ってる。
傘を差さないとダメかなぁ?
どうかなぁ~
ぐらい微妙な降りだ。
しかし傘を持たずに出て来てしまった。
あたしの家はエレベーターのない団地の三階。
取りに戻るのはめんどくさいけど、いくら近くのコンビニだとは言え今より激しく降って来たら困ってしまう。
空を見上げると鉛色の雲が塊で落ちて来そうなぐらい近くて重そう。
「ちっ」
ハァ……
舌打ちと溜め息を吐き出すと、仕方なしに三階の家へ傘を取りに上がった。
もう10年以上使ってるのに穴一つ空く事なく手に馴染み深い、くすんだゴールドの傘を持つと再び下に降りた。