【短編】コーヒーが飲みたい


せっかく雨の中、傘も持たずに走って転んだりトラックに水溜まりの水をかけられたりしながら、やっとショッピングセンターに辿り着いたと言うのに……



もう閉店していた。




ショッピングセンターの明かりが消えると、こじ開けても開かない自動ドアのガラスにボゥ…と何かが浮かぶ。



「ぎゃぁぁ!」

ボロ雑巾の幽霊だぁぁ!!


こっちを見てるぅぅ!!




あたしはしゃがみ込んで顔を両手で覆い、指の間からもう一度そっとそれを見てみる。



うぎゃぁぁ!


同じ体制でこっちを見てるぅぅ!!


出たぁぁ――!!



コーヒーへの執念が変な霊を呼び出したに違いないっ……!!


ごめんなさい

ごめんなさいっ!!






……んな訳ないか。




これはあたしだ……



ビビった……ん? んん!?





ぎゃぁぁぁぁ!!!


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