人生ゲーム【リメイク】
「大丈夫ですか?」

光の目の前に手が差し伸べられた。

その手はこれから話しかけようと思っていた48番の吉川くるみのものだった。

「あ、ありがとうございます」

遠慮なく手を取って光は立ち上がった。

「ピリピリしてるみたいですね」

くるみは孝太の方に目を向けた。

「誰だって怖いんですよ。勝ちたいという気持ちと負けたらどうしようという気持ちが入り乱れているんです」

くるみは年の割に落ち着いている。

「私は吉川くるみと申します。18歳です。よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げたくるみはまだ高校生だった。

「参加は初めて?」

くるみは眉毛を下げて頷いた。

「まだ若いのにどうして?」

「若いって・・・光さんと2コしか変わらないですよ」

くるみは微笑んだ。

「私叔母さんの家に居候させてもらっていたんですけど、そこの息子つまり私の従兄から招待状をもらったんです」

あまりに悲しそうに答えるので光は深い事情があるように思えた。

「ご両親は?」

「事故で・・・」

光は目の前にいる少女が儚く見えた。

「今頃くるみちゃんがいないのに気づいて叔母さん動揺してるんじゃない?」

くるみは首を横に降った。

「叔母さんにも頼まれたんです。和義・・・って従兄の名前なんですけど、和義が困っているから事情は分からないけどどうしても代わりに行って欲しいって」

猛は怒りを覚えた。

自分ですら暴力団と関係あるのではないかと恐怖心を抱きながらここへ来たというのに、まだ高校生の少女に彼女の立場が弱いことを利用して半強制的に行かせたのだ。

恐らくここで負けて負債を負ったとしたら叔母さん家族は知らんぷりをするだろう。

負債の義務はあくまでくるみに課せられるのだ。

光はくるみを何とかして勝たせてやりたいという思いに駆られた。

しかし、似たような状況の人物はこのゲームに沢山いる。

感情に流されてはいけない。

光は首を振って冷静さを保った。

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