人生ゲーム【リメイク】
光のグループは円陣になって座った。

「どうする?」

光は隣にいる猛に問いかけた。

「まずはアンカーを決める。誰か足に自信のあるやつおるか?」

誰も手を挙げようとしない。

おそらくプレッシャーを感じているのだろう。

もしアンカーで抜かされて最下位になったら皆から恨まれる。

光もアンカーは嫌だった。

「しゃーない。俺が行くわ」

猛が自ら名乗りをあげた。

「ちょっと待てよ!!」

立ち上がったのは中井孝太。

興奮しているのか顔が赤い。

「お前足速いのかよ!もし負けたらどう責任取ってくれるんだよ!」

「じゃあ、あんたが走るか?5分しか時間ないねん。早よ決め」

冷静に切り返された孝太は言い返す言葉が見つからず悔しそうな表情で座った。

「他に異論があるやつは?」

猛はぐるっと見回したが誰も孝太のように立ち上がらなかった。

「次は第一走者を決めなあかんな。できるだけ始めに引き離しておきたい。光、どうや?」

「俺!?」

驚きすぎて声が裏返りそうになった。

光は首を思いっきりふってとんでもないという仕草をしようとしたが思いとどまった。

猛は自らアンカー役を買って出た。

確かに光は足に自信がある。

頭は悪いが、その分運動面に関しては人並み以上の物を持っていた。

その自覚はある。
< 37 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop