人生ゲーム【リメイク】
トラック1周が200メートルなので光と猛は反対の所からスタートすることになる。

「あんな大口叩いて大丈夫なのかよ?」

光は不安そうな表情で問いかけた。

「見てみ。皆負債を負わんでええってなった途端リラックスしてるやろ」

言われて見渡してみると確かに他のプレイヤーに比べて光のグループは緊張感がなさそうに見える。

「このイベントの内容を聞いた人間は2種類に分かれる。何としても償金を手に入れたい人間。もう1つは何としても最下位から逃れたい人間。前者は闘争心が燃えていい結果を生み出すかもしれへんけど後者は不安から足が上手く動かずに悪い結果に終わるパターンや」

光は猛の意図が読めた。

「そっか。うちのグループは今皆償金のために走るだけでよくなったから・・・」

「悪い結果にはならへんと思うで」

猛はウインクを飛ばした。

「それに・・・」

係員の指示で猛は光と反対側の位置へ移動を促された。

「これが終わったらオプションがついてくるはずや」

光は首を傾げた。

「オプション?」

「ま、お互い頑張ろうや」

意味深な言葉を残して猛は光に背を向けて去って行った。

光は第一走者なのでスタートラインに立つ。

公平になるように少しずつ走者の位置がずらされる。

光は左から3コース目に入った。

どのグループも似たようなことを考えているのか、第一走者は若い男ばかりだった。

「では位置について・・・」

係員がこの場に似つかわしくないスーツのままピストルを掲げた。



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