人生ゲーム【リメイク】
光は目の前の光景に目を疑った。

誰もが赤の敗北を予想していたのだ。

緑の第九走者も女だったが、初めに差がついてしまっていたことと緑チームの女は有樹よりも若かったので、誰もが有樹の不利を確信していた。

しかしバトンが有樹に渡った途端会場の雰囲気が変わった。

有樹の細い足の回転は誰が予想したよりも速く、目の前の女の背中をあっという間に捉えた。

まるでシマウマを追いかけるライオンかハイエナである。

たった数秒の世界。

有樹が追い抜かした瞬間、思わず膝から崩れ落ちたのは緑チームのメンバーだった。

「速っ･･･」

これにはさすがの猛も肝を潰したようで呆然と有樹が疾走してくる方向を見つめている。

しかし我に返るとバトンを受け取る姿勢に入った。

黄・紫・青チームは団子状態で次々にアンカーにバトンを渡した。

有樹もわずか3秒足らずの差で猛にバトンを渡した。

猛が一気に快進撃へと走る。

猛のスピードもなかなかのもので、一気に他のチームとの距離を詰める。

アンカーは400メートルだ。

「もしかしたらいけるかも･･･」

アンカーの中でも猛は速い方である。

赤チームの皆が祈った。

< 50 / 70 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop