人生ゲーム【リメイク】
猛は『溝にハマって怪我をする。-12万』のマスに止まった。

溝にハマるだけで12万も損失するなんて。

光はとりあえず猛に電話を掛けた。

ワンコールで出た。

「おお。光か」

「おお。じゃないって!!」

「あいつから電話掛かってきたんか?」

何でもお見通しな猛。

「仲間に入れてほしいって掛かってきて・・・。こうなること全部分かってたのか?」

電話口から小さな笑い声が聞こえた。

「このゲーム、個人戦に見えて実はそうじゃない。信用できる人間をどれだけ味方に引き入れるかが勝負の要になってくる。誰でも彼でもほいほい味方に入れたらあかんで」

信用できる人間を味方にしていく・・・。

しかし光は誰でも彼でも信用してしまう性質なので見分けられる自信がなかった。

「ああいう馬鹿正直なタイプは一番操りやすい」

まるで光は自分のことを言われているようだった。

「でも、光。言っとくけど、心から信じてるのはお前だけや。だから光もあくまでも俺だけを信じろ。仲間でも5%の疑念を残しておけ」

前半部分だけ聞いたらまるで愛の告白だ。

女の子なら吊り橋効果でコロッといくかもな、と光はくだらないことを考えていた。
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