人生ゲーム【リメイク】
男は無言で光に近づくと手を差し伸べた。

「えっ･･･?」

光は訳が分からずとりあえずその手を取った。

「大丈夫ですか？」

男の口元から無表情であることが想像できる。

「あ、はい･･･」

「参加者の方ですね」

男は光の手元に目を落とした。

光は自分の握っている封筒を見られていることに気がついた。

「いや、あの参加者って･･･」

何て言えばいいのか分からない。

男は光を立たせると事務的に述べた。

「そこに受付があるので招待状とバッジを交換してください」

「あの、これって何なんですか？」

聞くのは怖いがはい分かりましたと言われた通りにはできない。

「初めてのご参加ですか？」

「はい」

「とりあえず受付へ行ってください。私からは何もお教えすることはできません」

アンドロイドのように無表情のまま男は答えた。

光は仕方がないので男の指示に従うしかなかった。

「こちらが受付です」

2メートル程の長机の前に女性が二人立っていた。

「あの、これって何なんですか？」

男に質問したことをもう1度尋ねた。

「私達は何もお教えすることはできません」

同じ答えが返ってくる。

「招待状を出してください」

光はどうすることもできず言われるがままに招待状を差し出した。

「これをどうぞ」

女は「50」と書かれたバッジを差し出した。

「あちらへお進みください」

女が指差す先には1枚の扉がある。

光にはあれが地獄への門のように見えた。

「あの!俺参加するなんて一言も言ってないんですけど･･･」

語尾が小さくなるのは目の前の女が瞬き一つせず無表情であることに臆しているからだろう。

女は光の目を見据えた。

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