清水の舞台
由美には、旦那と子どもがいる。

しかも、由美の実家である川本工務店は由美の嫁ぎ先から多額の資金を融資してもらっている。

さらには、倉田は行員時代に川本工務店への融資を打ち切っている。

どう考えても、由美が旦那と別れて倉田と一緒になることはできないのだ。

それが許されないことだとは、倉田も由美もわかっていた。が、気持ちが抑制できなかったのだ。

せっかく、銀行を辞めて、京都に店を出したがもう倉田は由美と会えないであろう。

不倫と言えば、不貞な行為であるが、この二人の不倫は、命をもかけている。不貞なんかであろうはずがない。これこそが、純愛なのである。

松木真理子は二人の愛をそのように評さざるをえなかった。

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