清水の舞台
しかし、真理子はこの二人の話を「美しい」という言葉以外で表すことができなかった。


人は、これほどまでに、人を愛すことができようか。


真理子は、死をも恐れない愛など、今まであろうはずがないと思っていた。


愛を貫くために死を選択することを「せつない」や「かなしい」では表せきれないのである。


真理子は、この二人のあまりにも美しい愛を尊敬し、宗教的な崇拝までもしていた。


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