清水の舞台
倉田良行は、生きているのだろうか、真理子は京都府警からの帰り道、そればかりを考えていた。
S市の海から引き上げられたのは、佐藤由美の遺体だけである。
一緒にいた倉田はどこに行ったのだろうか。
由美と同じく海に身を投じているのか。
青山刑事の言うように、由美を捨て一人でどこかで生きているのか。
それとも、これは可能性が少ないが、倉田が由美を海に突き落としたのか。
それは今のところわからない。
心中していてくれ、というのが真理子の希望であった。
真理子は、倉田と由美の愛を“美しい愛”としたかったのである。
彼女の言う“美しい愛”とは、死を恐れぬ愛である。
彼女は、みたかったのだ。
愛を貫くが為の心中というものを。
だからこそ、二十万円もの金をやったし、家賃の滞納も許したきたのである。
なんたることであろう、松木真理子は二人の死をずっと望んでいたのである。
S市の海から引き上げられたのは、佐藤由美の遺体だけである。
一緒にいた倉田はどこに行ったのだろうか。
由美と同じく海に身を投じているのか。
青山刑事の言うように、由美を捨て一人でどこかで生きているのか。
それとも、これは可能性が少ないが、倉田が由美を海に突き落としたのか。
それは今のところわからない。
心中していてくれ、というのが真理子の希望であった。
真理子は、倉田と由美の愛を“美しい愛”としたかったのである。
彼女の言う“美しい愛”とは、死を恐れぬ愛である。
彼女は、みたかったのだ。
愛を貫くが為の心中というものを。
だからこそ、二十万円もの金をやったし、家賃の滞納も許したきたのである。
なんたることであろう、松木真理子は二人の死をずっと望んでいたのである。