清水の舞台
その祇園の家というのは、一階がショットバーになっていまして、二階は住めるようになっています。

それは、先日、捜査されたからご存知でしょうが。

倉田さんは器用な方で、一階がスナックだったのをオシャレなバーに自身で改築したんですよ。

「ほお、あれを自分で?元はスナックだったとはとても思えませんな」

青山は感心しているふりをした。

ええ、『ホイホイ』というスナックを母がやってたんです。私も手伝っていました。

私が中学生の頃、つぶれましたけど。

それを倉田さんが生き返らせてくれたんです。

倉田さんは二階に住み、昼はカフェ、夜はバーをしていました。

「カフェ?」

青山は聞き返した。

あぁ、喫茶店みたいなもんです。

松木真理子は話しながらあの頃をなつかしんでいた。

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