消して消されて
「あ、へん子お帰りー」

4人の内の1人が女子生徒の存在に気付き手を振る。

「どう?いけた?」

リーダー格だと思われる1人が立ちあがった。

「うん・・・」

女子生徒の鞄をひったくるようにして掴むとリーダー格の女は遠慮なく鞄を逆さまにして中身を出した。

先程盗んだ本だけでなく他にも化粧品やお菓子など様々な物が落ちてくる。

「あたしが頼んだ服がない!」

リーダー格の女が女子生徒を壁に押し付けた。

「どういうことだよ?」

「服は・・・店員の目が厳しくて無理だった」

消え入るような声で弁解する女子生徒の顔を女は躊躇なしに殴った。

「使えねぇな」

さすがに黙って見ていられないので唯は飛び出した。

「あんた達何やってんの」

唯は女子生徒と女の間に割り込んだ。

女よりも唯の方が10センチ以上身長が高いので見下す形になる。

「あんた誰?」

「お前らよりも2つ先輩だよ」

リボンの色から1年生であることは分かっていた。

唯は座っている他の3人にも睨みをきかした。

さすがに3年生相手に歯向かう気はないのか3人は怖気づいたようだった。

「てめぇ、殴るぞ」

しかしこのリーダー格の女はそんなことお構いなしに汚い言葉を唯に浴びせた。

「やれるもんならやってみな。チビに負ける気はしないね」

堂々とした唯を相手にするのが面白ないのか、女は地面に唾を吐くとそのまま立ち去った。

「ちょっと、理香待ってよ」

他の3人も腰を上げて理香を追った。

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