消して消されて
嵐が去ったように静かになった。

女子生徒は座り込んだままポカンと唯を見上げていた。

唯はしゃがみこんで地面に散らばっている商品を鞄に入れた。

「一緒に返しに行こうか」

唯の予想とは裏腹に少女は首を横に振った。

「何で?」

俯く少女を覗きこむと瞳から涙が溢れていた。

「お母さんに知られたくない」

「万引きしたこと?でもあれは・・・」

仕方のないことだったと言って安心させようとしたが、それを少女は遮った。

「万引きも含めていじめに関しても全部、知られたくないんです」

怯える少女の肩は震えていた。

この子にはこの子なりの事情がある。

唯は荷物を持って立ちあがった。

「分かった。店員さんにバレないように返しに行こう。それならいい?」

少女は頷いた。

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