消して消されて
1階の食料品売り場から3階の本屋まで一通り回って全ての商品を元の位置に戻した。

その間、唯は少女の深いことは聞かなかった。

まだ自分のことを完全には信用していないだろうと思ったからだ。

「これで最後だね」

本棚に本を戻し終えると2人は本屋を出た。

「ねぇ、美味しいパフェ食べない?奢ってあげるよ」

唯は2階の「Sakura」という店へ少女を連れて行った。

戸惑い気味であったが大人しく唯についていく。

店内に案内されて向かい合わせに座った。

「何でも好きなの頼んでいいよ」

メニューを広げて唯は少女に見せた。

「でも・・・」

「遠慮しないで!私は抹茶パフェにするよ」

唯は店員を呼んだ。

「ご注文お伺いいたします」

「抹茶パフェ1つ。ほら、何にするの?」

唯に急かされた少女は小さな声で「ストロベリーパフェ」と呟いた。

メニューを閉じると唯は自己紹介を始めた。

「私は山崎唯。クラスは3-1だよ。あなたは?」

「1-4の辺見千里です」

先程よりも声がはっきりしていて怯えた様子もない。

< 23 / 102 >

この作品をシェア

pagetop