消して消されて
パフェが届き2人はスプーンで食べ始めた。

「何であんなことになったのか聞いてもいい?」

唯は軽い調子で聞いた。

重い表情で聞いたら余計に話しにくくなると思ったからだ。

「その前に・・・助けてくださってありがとうございました」

千里はテーブルにつくのではないのかと思うほど頭を下げた。

「全然!悪いのはあいつらだし」

千里のパフェを食べる手が止まった。

「私、ずっと虐められてて・・・」

思い出した千里の目がじわっと滲む。

「親に知られたくないから誰にも言わないの?」

千里は頷いた。

「うちはお父さんがいなくてお母さんが女手1つで私のことを育ててくれてるから心配掛けたくないんです・・・」

唯もその気持ちは何となく分かる。

父親はあんな感じだから母親には迷惑を掛けたくない。

「でもあいつらやめる気は無さそうだよ?」

「それでもやっぱり言えないんです・・・」

唯は溜息を吐いた。

千里は誰かに頼る気は一切なさそうだ。

「唯さんに助けていただいて嬉しかったです。きっと時間が解決してくれます」

力なく笑う千里は痛々しかった。

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