消して消されて
体育館裏から人の声が聞こえる。

「ちょっと行ってくる」

唯は愛を置いて声の聞こえる方に向かった。

「……やっぱり」

唯がため息を吐くのも仕方なかった。

そこには千里が理香に追い詰められている姿があった。

今回は他の3人はおらず、理香だけだ。

「ほんと懲りないよね」

唯は二人の前に出た。

「なんで千里のことをいじめんの?」

理香は唯の姿を確認するとあからさまに嫌そうな顔をした。

「うるせぇんだよ!!邪魔すんな」

感情が高ぶっているのか、理香はたった一言発しただけなのに肩で息をしている。

「こんなやつ消えればいいんだ」

唯は理香の剣幕に気圧された。

どうしてこの子はこんなにも千里に噛みつくのだろう。

「千里!逃げて」

唯は千里を逃がした。

「待てよ!」

理香が追いかけようとしたが、その腕を唯が掴んだ。

「行かせないよ」

振り払おうとしたが、唯は渾身の力を込めて抑え込んだ。










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