消して消されて
「離せよ!」

「落ち着いて」

唯は無理矢理理香を体育館裏の階段に座らせた。

しばらくは暴れまわっていたが、徐々に大人しくなった。

首を左右に振ってしきりに何かを探している。

唯は様子のおかしい理香をじっと見つめた。

探しているというよりは怯えているように見える。

先程の威勢はどこへいったのか、すっかり大人しくなった。

「・・・どうしてあの子を目の敵にするの?」

唯はもう一度聞いた。

理香は答えようとしない。

「そんなに千里が憎い?」

あれは何となくから始まったいじめではない気が唯はしていた。

「答えるまで今日は帰さないよ」

唯は何時間でも待つつもりだった。

いじめる原因ぐらいは聞き出さなければ。

面倒なことに巻き込まれたとつくづく思うが、乗りかかった船なので解決するまで唯は手を引くつもりはなかった。

「・・・・・・けて」

理香がポツリと呟いた。

「え?」

唯は理香のく口元に耳を寄せる。










「・・・たすけて」


















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