消して消されて
「ねね、どうだった?」

愛は唯の占いの結果を聞きたくてうずうずしていたらしい。

「いや、何てことなかったよ。普通に結婚は遅いとか」

「へー。あのね!私はね・・・」

そこから愛のマシンガントークは止まらなかった。

恋愛運を占ってもらったらしく、帰り道の間別れる間際まで永遠と占いの結果を唯に聞かせるのであった。

唯は紙のことを相談しようかと思ったが、愛の話につけいる隙がないのと何となく占い師の言葉が引っ掛かり結局言い出せずに家へと帰った。










「ただいま」

唯が玄関を開けると同時に何か瓶のような物が割れる音が響いた。

その後から男の怒鳴り声が唯の耳に届いた。

「またかよっ」

乱暴に靴を脱ぎ捨てると鞄を玄関に放り投げてリビングへ走った。

「お母さん!」

慌ててリビングのドアを開けると長身の男が母親の髪を掴んでいた。

「唯・・・」

母親の美咲は髪を掴まれ思うように動けず、目線だけ唯に向けた。

「離せよっ」

唯は男の腕を掴み離させた。

「お前も俺に逆らうのか?」

男は掘り深い顔立ちをしていて切れ長の目が唯を捉える。
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