消して消されて
3枚目
唯は教室の机に突っ伏していた。

さっき屋上にいた女の子は自分と知り合いなのだろうか。

辺見千里のことを知っていた。

唯は思い出せなかった。

自分が千里を消したことは覚えているのになぜ消したのかその理由がはっきりと記憶に残っていない。

ナイフを出されて殺されかけたから逃げて紙に彼女の名前を書いた。

しかしなぜ殺されるようなことになったのかその理由が分からない。

断片しか残っていない記憶に唯はもやもやした。

さっきの派手めな彼女が関係しているのだろうか。

おそらく今回千里を消したことで消えた記憶は屋上にいたあの女の子だ。

唯は何となく確信していた。

そうでなければ辻褄が合わない。

彼女に何があったのか聞いてみようかと思ったが、記憶が曖昧な自分を見れば訝しがるに決まってる。

もう彼女には関わらないでおこう。

唯は胸の中で決心した。

3限目の授業開始のチャイムが鳴ったので唯は顔を上げた。
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