消して消されて
日曜日。

唯は熊谷家へ向かった。

結局もう時期テストが始まるということで瞳の家で勉強会をすることになった。

あの2人の性格を考えるときっと勉強会は名ばかりになってしまうことを唯は感じていたがとりあえず勉強道具を詰めた。

瞳の家は結構なお金持ちである。

高級住宅が並ぶ一帯の中を唯は慣れた足取りで進んでいく。

初めて通る人は一軒一軒じっくり眺めてしまうだろう。

唯は「熊谷」という表札の前に立つとインターホンを押した。

「はーい。ちょっと待ってて。門開けて入って」

瞳の声が機械を通して聞こえる。

門から家までは階段で繋がっていて結構な距離である。

真っ白な門を力を入れて押した。

玄関から庭が見えるが、子どもが遊べるようなブランコや砂場が設置されている。

これは瞳が小さい時に遊ぶ用に作られたらしいが今や大きくなって必要ないのでディスプレイの一部となっている。

「いらっしゃい」

玄関が開き瞳が姿を見せた。



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