消して消されて
夏希はバイトがあるということで19時に帰って行った。

唯と瞳は広いテーブルに教科書とノートをいっぱいに広げた。

「疲れたー!!」

ごねる瞳を唯は宥めた。

「明日もうテストでしょ。頑張らないとまた赤点だよ」

お風呂に入った後なので2人もジャージ姿。

家が近いと急な泊まりでも私物を取りに帰れるから便利だ。

「じゃぁさ、もし60点以上取ったらご褒美頂戴?」

「ご褒美?」

唯は可愛らしいぬいぐるみか何かをねだられるのだと思った。

しかし返ってきた答えは予想もしないことだった。









「もし60点以上取ったら樹くんと別れて」









「………は?」

目が点になるという表現は今使うためにあるのだろう。

唯は瞬きをするのも忘れて瞳を見た。

「冗談だよね?」

まるで「お菓子買って」というようなノリで言われたので唯は冗談だと思った。




< 57 / 102 >

この作品をシェア

pagetop